ドラマ「下町ロケット」観てますか?
2018年10月から放送が始まったドラマ「下町ロケット」ですが、2018年末に「最終回」が放送されたものの、それは真の最終回にあらず。
まさかの「年またぎ」ということで、真の最終回は「特別編」として2019年1月2日に放送されるという今までにない異例の運びとなりました。
「特別編」はなんと2時間を超えるスペシャルバージョン。
というわけで、今回はドラマ「下町ロケット 特別編」を視聴した感想について書きますね~。
いやな出来事が続く前半パート
ドラマ「下町ロケット 特別編」は冒頭からして、ドロドロとした不毛な争いが繰り広げられます。
新年から、なかなかの重たさ。
2018年の漢字「災」をそのまま引きずるかのような展開になかなか気が滅入るものがありますね。
逆襲の的場、復活の中川、激情の重田
ダーウィンプロジェクトの戦略と、佃製作所とのトランスミッション対決に敗れた的場は後がない状況へと追い込まれるものの、今度はダーウィンプロジェクトに関わる中小企業に対して得意の「下請けいじめ」を展開します。
中小企業が次々と脱退していく中、ダーウィンプロジェクトの重田は、あの中川弁護士をダイダロスの顧問弁護士へと迎え、今度は「下請法」を盾にした訴訟によって対抗。
ここに来てまさかの中川復活というドラマオリジナルの展開に正直驚きました。
また、それ以上に的場に対してみせた重田の激情と、意外と従業員思いだったという描写にはそれ以上に驚くとともに、思わず共感してしまうところも。
ここに来て重田という人物に深みが増した感じがしますね。
的場ついに失脚!復讐達成の先にあったものは?
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重田と中川の作戦が功を奏し、的場は部下の奥沢に見放され、沖田会長からもついに引導を渡されてしまいます。
的場、ついに失脚です。
マスコミの餌食になり的場の惨めな様子をテレビ越しに見つめる的場と重田。
これで二人の復讐は達成と相成ったわけですが、その復讐の先にあったのは、ただの「虚しさ」のみ。
これは復讐された的場も同様のようでしたね。
島津と氷室、明暗を分けた二人の技術者
好調な売上を見せる無人農業ロボット「ダーウィン」ですが、製造が追いつかないだけでなく、謎の停止トラブルが相次ぎ、最悪の場合「リコール」にまで発展しかねない事態へと陥ります。
停止トラブルの原因は島津がギアゴースト時代に設計したトランスミッション。
農家からの停止トラブルを社長に報告せず、原因を他に責任転嫁し続けた氷室は、ついに伊丹の信用を完全に失い、ギアゴーストを退社することになります。
停止トラブルが相次ぐダーウィンのトランスミッションは、元々は自分が設計したものだということで、今はライバル関係にありながらも、技術者としての責任を感じ続ける島津。
自分が作り出したものにとことん責任を果たそうとする島津に対し、ひたすら責任から逃げ続けようとする氷室は、同じ技術者だというのに、そのスタンスはあまりにも違います。
もしも氷室が島津と同じようなメンタリティを持っていれば、今回のようなことにはならなかったと思うんですよね。
この二人の技術者のありようが、ランドクロウとダーウィンの明暗を分けたといっても過言ではないでしょう。
さよなら氷室くん。
持つべきものはやっぱり特許!佃に泣きつく伊丹
無人農業ロボット「ダーウィン」が抱える停止トラブルを解決するには、佃製作所が持つ特許を使わせてもらう他にない状況に追い込まれたダーウィンプロジェクト。
神谷によって申請された佃の特許は一部のスキもなく中川弁護士もお手上げ。
重田は何が何でも特許を使わせてもらえ、と言われた伊丹は必死になって佃に泣きつくわけですが、そんな虫のいいお願い、当然聞き入れられるわけがない。
伊丹の必死の姿には多少同情する余地はあるかもしれませんが、それ以上に伊丹の裏切り行為は本当にひどかったですからね。
ましてやダーウィンプロジェクトとはライバル関係にあるわけですから、たとえ佃が許可したとしても、帝国重工が許すとはとうてい思えませんしね。
因果応報としかいいようがありません。
「ものづくり」の本質に心震える後半パート
いやな出来事が立て続けに起こる前半パートでしたが、ドラマ「下町ロケット 特別編」の真骨頂は後半パートにギュッと凝縮されています。
この後半パートを見ることによって、今回のドラマ「下町ロケット」は初めて真の完結を迎えます。
佃と島津、二人の思いは同じ
伊丹のしつこい嘆願に心底うんざりとする佃製作所の社員達。
もう来ないでくれ、という佃の言葉を最後に伊丹はこれ以上お願いすることはなくなるのですが、島津はなんだか思いつめたような様子を見せます。
佃もそれは同様で、伊丹のお願いを断ったはいいものの、その気持は決して割り切れたとは言えないもやもやとした感情が渦巻いているようにも感じられます。
助けてあげたい、という島津の言葉に対し、激昂する立花に気持ちもとても良くわかるものがあるのですが、島津と佃、この二人が見据えている先にあるものは、実際に使用する農家の人々。
ダーウィンの停止トラブルで困っている農家の人々を見捨てることに強い抵抗感を感じているんですね。
まだまだ付き合いは長くない佃と島津ですが、二人の思いは同じ、というところに深く惹かれるものを感じてしまいました。
殿村の親父さんがすげえ
長年に渡り自らの「カン」を一番の頼りに農業に取り組んできた殿村の親父さん。
大雨で田んぼが全滅したことをキッカケに新たに導入することになった無人農業ロボット「ランドクロウ」について積極的に学ぼうとする姿勢がとにかくすごい。
米作りに対し本当に真摯に向き合う熱意の前には、最新技術に対する心理的ハードルなんて何の障害にもならない、ということなのでしょうか。
これだけの高齢になっても情熱を注げるものがあるっていうのは本当に素晴らしいことだと思う。
殿村の親父さんは本当にすげえ。
財前の視野が大きすぎる
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的場が辞任したことにより、ふたたび無人農業ロボットのプロジェクトリーダーへと返り咲いた財前。
その構想はとどまるところを知らず、台風などの災害への対策の一環として自治体との連携を視野に入れ、災害対策に駆けつけるためのキャラバンを独自に用意するなど次々と展開をかけていきます。
すべては「日本の農業を救う」ため。
社内政治に終始していた的場と違って、財前の頭の中は常にはるか先を見据えています。
財前という男の視野はとにかく大きすぎる。
野木教授を認めさせるだけのことはありますよね。
「殿村と稲本」「佃と伊丹」の構図が面白い
当初は台風の進路がそれるから大丈夫、ということで安心しきっていた稲本でしたが、急な進路変更により台風が直撃することになってしまいます。
殿村の事を散々バカにし続けてきた稲本は、今回の台風が来る直前にも、ご丁寧に殿村達をバカにしていましたから、個人的には正直なところ「ざまぁ見ろ」という気持ちのほうが強かったです。
何かと嫌な側面しか見せてこなかった稲本なんですけど、今回の台風から米を必死に守ろうとする姿には、素直に応援したくなりましたね。
佃に必死に懇願する伊丹と重なる部分もあり、「殿村と稲本」「佃と伊丹」は関係性がとてもよく似ているな~と感心してしまいました。
この構図は原作よりもドラマのほうがより顕著に強調されているんじゃないでしょうか。
「殿村と稲本」「佃と伊丹」のこの構図こそが後半パートでよりよい見せ場を作ることにつながるんですよね。
殿村親子の心意気が尊い
殿村の親父さんのカンによって、いち早く無人農業ロボット「ランドクロウ」で刈り入れに取り掛かっていたところに、駆けつけてきた佃社長たち。
みんなで協力して順調に刈り入れ作業をしていたところ、今度は稲本が助けを求めに駆けつけてきます。
ダーウィンを購入するために、今まで使っていたトラクターを全て下取りに出してしまい、このままでは米を刈り入れすることができないということで、余っているトラクターを貸してもらうよう懇願に来たんですね。
この稲本に対する殿村親子の対応がとにかく素晴らしいんです。
余っている手動コンバインを貸し出すだけでなく、刈り入れが終わった無人コンバインまで貸し出そうという殿村親子の心意気。
本当に尊い。
佃、野木、財前、この3人の心意気も尊い(軽部もね)
殿村親子の決断に心動かされた佃は野木と財前に二人に掛け合い、ダーウィンの地図情報をランドクロウ用へと変換してもらい、殿村家のランドクロウで稲本の田んぼの刈り入れ作業を実現させます。
財前に至ってはすべての責任は私が取る、ということで自らの進退をかけてまでキャラバンでの協力を快く引き受けます。
「日本の農業を救いたい」という思い持つ佃、野木、財前のこの3人の心意気も本当に尊い。
会社で台風の様子をテレビで見ながら「がんばれよ」という軽部ももちろん尊い。
佃と財前、二人の魂の演説に感動
ギアゴーストによる重大な欠陥の発覚により、ダーウィンの製造が立ち行かなくなってしまった重田と伊丹。
ついに協力している中小企業を集めて重大な発表をすることになったのですが、そこに突然姿を現したのは佃社長。
伊丹からマイクを受け取ると、罵声が飛び交う中小企業の関係者達に対し、正直な胸の内を話しかけます。
最初は立ち上がって罵声を浴びせていた中小企業の関係者達は、佃の話を聞く内に一人、また一人と席に座り、最終的には全員が着席して熱心に耳を傾けることになります。
佃の話はこの「下町ロケット」という作品において、まさに真骨頂とも言える内容となっており、ドラマならではドラマティックな演出と阿部寛の熱演によって、より深く心の奥に染み渡るのを感じました。
これは今の日本に間違いなく必要な精神だと思います。
一方、先の台風での独断行動により、懲罰に掛けられることになった財前。
プロジェクトよりも自らの進退を大切にしろ、という水原の親切心には従わず、財前んは自らの進退をかけて臆することなく藤間社長にある提言をします。
それはダーウィンプロジェクトに佃の特許使用を許可する、というもの。
佃と財前の気持ちはまさしく一致していたんですね。
「ヤタガラスの精神」という言葉を使った財前の魂の説得は、見ていて本当に腑に落ちるものがありましたね。
藤間社長がこっそりと財前の辞表を破き「なんでも言えば通ると思うな。危なかったぞ」というセリフはちょっと吹いてしまいましたが。
とにかく、この二人の演説は本当に最高で感動ものでした。
ほんとうの「伊丹」が帰ってきた
佃、財前の尽力により特許の使用許可を得ることがかなった伊丹。
佃が演説する間もポロポロと涙を流すその姿には、過去の裏切りの事なんか思わずどうでも良くなってしまうような気持ちになってしまいました。
尾上菊之助さんの熱演の賜物ですね。
台風の中、佃達ががんばって農作業を手伝っているときにも一生懸命応援してくれてましたしね。
ついにダークサイドから完全に抜け出した、というところでしょうか。
ほんとうの伊丹がついに帰ってきた。
島津とも心から和解できて本当に良かった。
重田も新たな目標ができたね
原作においては、復讐を終えた重田に残されたのはただの虚しさだけだったのですが、ドラマにおいては佃の真のライバルになるという宣言をするなど、なかなか良い見せ場を作ってくれましたね。
最後に深々と礼をする姿は、心あらわれるような清々しさがあって、見ている私も「ああ、本当に良かったな~」と爽やかな気持ちになりました。
きっといいライバル関係を築いてくれることでしょう。
最後の締めはやっぱりロケット!
「下町ロケット」といえばやっぱり欠かせないのは「ロケット」ですよね。
ドラマの最後の締めは、コスト削減のために開発したリユーザブルエンジンを再利用したロケットの打ち上げとなっています。
なにげに軽部がロケットに興味を示すシーンが面白かったな~。
まとめ
ドラマ「下町ロケット 特別編」を視聴した感想について書きましたが、いかがだったでしょうか?
前回の第11話で「最終回」と言われたものの、中途半端な幕切れに不満を覚えた人も多かったことでしょうが、今回の「特別編」こそが正真正銘、ほんとうの「最終回」だったんですよね。
個人的には前シリーズのドラマ「下町ロケット」を上回る素晴らしさの大団円だったと思います。
今回の「特別編」こそ、原作の「下町ロケット -ヤタガラス-」での一番の見せ場が描かれているので、これを見逃すのは本当にもったいない。
特別編だけが日曜日ではなく、水曜日の放送であるということと、何より正月三が日の真っ只中での放送ということで、録画忘れなどで見逃してしまった人も多いんじゃないかと少し心配しております。
もしも「見逃してしまった!」というかたは、次の記事を参考にしてみてください。↓↓
ドラマ「下町ロケット 特別編」を見ないのは本当にもったいないですから!
私はとりあえずもう一度観返す予定です。
原作も読み直すかな。
- 第1話
『新シリーズ幕開け!ロケットから撤退か?
夢を諦めずに立ち向かえ!!』 - 第2話
『15億円をかけた戦早くも大ピンチ!
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『大逆転なるか!牙をむいた帝国重工に立ち向かえ』 - 第4話
『涙の別れ!鬼の経理が退社!!裏切者は誰?逆襲へ』 - 第5話
『完結!ゴースト編〜負けたら終わり!
予想不可能な展開!!逆転なるか!?』 - 第6話
『新シリーズに突入!
この国の未来のために〜帝国重工との対決』 - 第7話
『帝国重工が佃をつぶしにかかる!逆転へ』 - 第8話
『大企業に復讐しろ!
中小企業VS帝国重工食うか食われるか!?』 - 第9話
『最終章突入!
帝国の隠ぺい工作を暴けるか無実の親友を救え!』 - 第10話
『最終回前SP〜
台風から親友と米を救え・佃プライド!総力戦で立ち向かえ!』 - 第11話
『最後の大逆転なるか
悪党たちに立ち向かえ夢に向かって走れ!』 - 特別編
『新ステージに突入!最愛の人を守るために諦めるな!!
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