2018年10月から放送予定の「下町ロケット ゴースト」、その原作となる同名小説が7月20日に発売されましたね。
ここ数年、池井戸潤の作品がドラマや映画といった実写作品として、つぎつぎと映像化されていますが、個人的には映像を観る前にやっぱり原作を先に押さえておきたくなるんですよね。
というわけで、池井戸潤の作品でドラマ・映画化されたもので、実際に視聴、拝読したものについて紹介しましょう。
空飛ぶタイヤ
走行中の大型トレーラーが脱輪し、はずれたタイヤが歩道を歩く若い母親と子を直撃した。トレーラーの製造元ホープ自動車は、トレーラーを所有する赤松運送の整備不良が原因と主張するが、社長の赤松は到底納得できない。独自に真相に迫ろうとする赤松を阻む、大企業の論理に。会社の経営は混迷を極め、家族からも孤立し、絶望のどん底に堕ちた赤松に、週刊誌記者・榎本が驚愕の事実をもたらす。(amazonより引用)
2002年に実際に起きた三菱自動車製の大型トラックの脱輪事故による死傷事故やリコール隠しなどを題材に描かれた骨太の社会派経済小説です。
2006年発売当時は上下巻に分かれていたのですが、2017年には上下合体版として一冊にまとめられています。
全716ページの大ボリュームですが、読み始めると本当にあっという間ですよ。
空飛ぶタイヤは2009年にはWOWOWの「ドラマW」枠で、仲村トオル主演でドラマ化。
空飛ぶタイヤ(ドラマ版)
2018年にはTOKIOの長瀬智也主演で映画化もされています。
空飛ぶタイヤ(映画版)
どちらも豪華な役者陣で彩られた、妥協のない作品となっているので、おすすめです!
半沢直樹シリーズ
ドラマ視聴率40%超えという大人気を博した「半沢直樹」シリーズ。
そのうちドラマ化されたのは1巻「オレたちバブル入行組」と2巻「オレたち花のバブル組」の2冊のみ。
半沢直樹1 オレたちバブル入行組
大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。そんな世代へエールを送る痛快エンターテインメント小説。(amazonより引用)
半沢直樹2 オレたち花のバブル組
「バブル入社組」世代の苦悩と闘いを鮮やかに描く。巨額損失を出した一族経営の老舗ホテルの再建を押し付けられた、東京中央銀行の半沢直樹。銀行内部の見えざる敵の暗躍、金融庁の「最強のボスキャラ」との対決、出向先での執拗ないじめ。四面楚歌の状況で、絶対に負けられない男達の一発逆転はあるのか。(amazonより引用)
1巻を第一部、2巻を第二部として全10話のドラマとして放送。
半沢直樹(ドラマ版)
「やられたらやり返す、倍返しだ!」という堺雅人演じる半沢直樹の名セリフが痛快なドラマとなっています。
ドラマ・映画化されていない半沢直樹シリーズは次の2作品です。
半沢直樹3 ロスジェネの逆襲
子会社・東京セントラル証券に出向した半沢直樹に、IT企業買収の案件が転がり込んだ。巨額の収益が見込まれたが、親会社・東京中央銀行が卑劣な手段で横取り。社内での立場を失った半沢は、バブル世代に反発する若い部下・森山とともに「倍返し」を狙う。一発逆転はあるのか?大人気シリーズ第3弾!(amazonより引用)
個人的にはこの「ロスジェネの逆襲」が半沢直樹シリーズで一番好きです。
不遇な境遇に立たされてしまう半沢ですが、このロスジェネの逆襲の半沢は1巻、2巻の経験を経て、どこか超然とした雰囲気をかもしだしていて、とにかくシビレます!
読了したときの爽快感はシリーズで随一だといえるでしょう。
とにかく映像化が楽しみです。
半沢直樹4 銀翼のイカロス
出向先から銀行に復帰した半沢直樹は、破綻寸前の巨大航空会社を担当することに。ところが政府主導の再建機関がつきつけてきたのは、何と500億円もの借金の棒引き!?とても飲めない無茶な話だが、なぜか銀行上層部も敵に回る。銀行内部の大きな闇に直面した半沢の運命やいかに?無敵の痛快エンタメ第4作。(amazonより引用)
シリーズを重ねるごとにだんだんと話のスケールが大きくなってくる「半沢直樹」。
「ロスジェネ」のときの半沢に比べると、なんだか人間性が劣化しちゃった?ような印象を個人的には感じたのですが、もちろんこの「銀翼のイカロス」も面白いことに間違いありません。
できれば「ロスジェネの逆襲」と「銀翼のイカロス」をセットにして、また堺雅人主演でドラマ化してほしいものです。
陸王
勝利を、信じろ。足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。このシューズは、私たちの魂そのものだ!埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。これまで培った足袋製造の技術を生かして、「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか?世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、資金難、素材探し、開発力不足―。従業員20名の地方零細企業が、伝統と情熱、そして仲間との強い結びつきで一世一代の大勝負に打って出る!(amazonより引用)
「陸王」とは老舗足袋メーカーが開発する「裸足感覚」のランニングシューズの商品名なのですが、このネーミングセンス、私は大好きです。
モノ作りという点では「下町ロケット」と共通する部分も多いのですが、ある意味こちらのほうが困難の壁が分厚く高い。
一冊だけなのに476ページという大ボリュームが、その試練の度合を物語っています。
そして2017年10月にはその苦難と喜びの物語がTBS日曜劇場にてドラマ化。
陸王(ドラマ版)
主演の役所広司をはじめ、山崎賢人、光石研、寺尾聰など、若手・中堅・ベテランの豪華俳優陣と、ドラマならではのアレンジによって、ある意味「原作を超えた」といっても過言ではない素晴らしいドラマ作品へと仕上がっています。
小説版では単純に悪役止まりだった登場人物も、ドラマ版においては新たな側面を見せることにより、物語の深みがより増して、私の涙腺をことごとく決壊させてくれました。
続編、書いてくんないかな~。
ルーズヴェルト・ゲーム
「一番おもしろい試合は、8対7だ」野球を愛したルーズヴェルト大統領は、そう語った。監督に見捨てられ、主力選手をも失ったかつての名門、青島製作所野球部。創部以来の危機に、野球部長の三上が招いたのは、挫折を経験したひとりの男だった。一方、社長に抜擢されて間もない細川は、折しもの不況に立ち向かうため、聖域なきリストラを命じる。廃部か存続か。繁栄か衰退か。人生を賭した男達の戦いがここに始まる。
「ルーズヴェルト・ゲーム」はいわゆる「社会人野球」を扱った作品なのですが、実際には野球シーンはそれほど多く出てきません。
野球部の母体は青島製作所という中堅電子部品メーカーなのですが、リーマンショックの影響を受け業績はみるみる悪化。
そんな中窮地に立たされる青島製作所野球部。
そんな人間模様を描いた作品となっています。
他の作品とは少し毛色が異なるかもしれませんが、面白い作品であることには間違いありません。
ルーズヴェルト・ゲーム(ドラマ版)
ドラマ版「ルーズヴェルト・ゲーム」は、原作からかなり大幅なアレンジを加えており、人によっては好みが大きく分かれる作品となっています。
原作との話の大筋はそれほど大きく変わらないのですが、主人公の変更、登場人物像の独自解釈など、原作とは異なる部分が多く見られます。
だからといって面白くないということは決してありません。
ドラマならではの演出、役者の演技、随所にみられるアレンジなどは、原作とはまた違った良さがあり、個人的にはとても楽しめました。
まとめ
池井戸潤の作品は「下町ロケット」だけじゃないよ~、ということで過去にドラマ・映画化された「下町ロケット」以外の作品について紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
今回紹介した以外にもまだまだ映像化された作品はあるのですが、書き出すときりがないので、4つの作品に厳選して紹介させていただきました。
原作には原作の、ドラマにはドラマの、映画には映画の良さがあり、違いを比べてみるのもまた楽しかったりします。
- 原作を読んだらドラマを見たくなる
- ドラマを見たら原作を読みたくなる
池井戸潤の作品にはそんな魅力が詰まっている、だからやめられないんですよね!
次は何を読もうかな~?
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