映画「アルキメデスの大戦」を観てきました。
原作は「ドラゴン桜」や「砂の栄冠」でおなじみの三田紀房の同名マンガなのですが、私は映画の予告でこの作品を初めて知りました。
別の映画作品で何度か予告を観ているうちに興味を持ち、鑑賞に至った次第です。
だから原作マンガは未読です。
けれども今回は原作を読まずに鑑賞して正解だったと思ってます。
なぜなら、とても良い作品だったから。
というわけで今回は、映画「アルキメデスの大戦」を視聴した感想について書きますね~。
大和沈没…想定以上のVFXと戦争描写
劇場の予告編でも随分と押してるな~と思っていたのが、VFXを駆使した戦艦大和の描写。
大和の甲板上にいる兵を中心に、アメリカの戦闘機との戦いを描いていたんですけど、手回しハンドルでくるくると砲台を回転させたり、大声で叫びながら砲撃したり、爆撃を受けたりする様子が、想像していた以上に生々しく描かれていた印象を受けました。
戦艦大和も映画「タイタニック」ほどとは行かないまでも、かなり作り込んだVFX映像で、巨大な艦体や、黒く立ち上る煙をリアルに再現するなど、このままシン・ゴジラでも出てくるんじゃないかと思うくらい、スケール感あふれる映像となっていました。
正直なところ、ここまでの映像が観られるとは思ってもみませんでした。
これは嬉しい誤算でしたね。
美しものは測らずにはいられない菅田将暉
私がこの映画を観る一番の決めてとなったのは、菅田将暉演じる数学の天才・櫂直(かい ただし)の変人っぷりです。
予告編の「美しいものは測らずにはいられないのだ」というセリフが印象的で、とにかくそのシーンが観たかったんです。
で、実際に映画を観たところ、予告に違わぬ変人っぷりで安心しました。
とにかく気になったものや、美しいものは巻き尺で測らずにはいられない。
最初は女性の驚異や顔の比率などといったスケールの小さなところからはじまるんですけど、最終的には実物の戦艦を巻き尺で測ってましたからね。
ここまで突き抜けてしまうと、もはやただの変人では済まされないものがあります。
いや、変人なんだけどね。
そんな変人を菅田将暉がものすごい熱量で演じるんですから、面白くないわけがない。
柄本佑のキレッキレ敬礼
主人公の付き人役・田中正二郎役の柄本佑の演技がかなり良かった。
いきなり「大佐」待遇の櫂に対し、最初はあまりいい印象を持っていなかったところから、徐々に影響を受け始め、だんだんと心の底から敬意を抱いてく姿は、まるで観客の気持ちをそのままスクリーンに投影させているような印象を受けました。
また、個人的に密かに関心したのが、柄本佑の敬礼の動作。
この敬礼の動作って意外とおざなりにされがちなんですけど、柄本佑の敬礼これまでの映画やドラマ作品の中でもトップクラスのキレだったと思います。
異次元レベルのブラック環境からの半端ないカタルシス
主人公の櫂に与えられた使命は巨大戦艦の建造を阻止すること。
阻止するためには、巨大戦艦の安すぎる見積の不当性を2週間という短い期間内に暴かなきゃいけない…。
見積書なし、設計書なし、価格表なし、その他情報一切なし…さらには経験もなし。
異次元レベルのブラックな環境と条件の中で、まずは戦艦とはどのようなものなのか? というところから始めるのですから、ほんとうに恐れ入ります。
驚異的な数学力で、積算のための設計図を作り上げ、鉄の総量で建造費を積算する方程式を開発。
さらには、巨大戦艦の問題点まで発見してしまうという、とんでも展開は見ていてゾクゾクするものがありましたね。
そこに至るまでのプロセスの大変さもしっかりと描写しているから、カタルシスも半端じゃないんですよ、ほんとに。
予測で作り上げた巨大戦艦の設計図の答え合わせをするシーンは鳥肌ものでしたね。
価値観がひっくり返る爽快感
そもそも、今回の巨大戦艦を設計した一番の元凶は、造船中将の平山忠道(田中泯)。
田中泯が醸し出す静かな迫力は、平山という人物の存在感を一層際立たせていましたね。
平山は櫂とは一番対立する人物でもあります。
なぜ、巨大戦艦を設計するに至ったのか?
なぜ、見積金額を不当に安く見せかけたのか?
平山のやってることは、ひたすら戦争に突き進むかのようにしか見えないんですけど、そこに隠された真意は、数学の天才・櫂にとっては、価値観がひっくり返るくらい衝撃的なものだったんですね。
太平洋戦争の悲劇の象徴として語り継がれる巨大戦艦「大和」。
その悲劇は決して「偶然」ではなく「必然」だったという驚きの展開…でも説得力はありまくり。
久しぶりに価値観がひっくり変えるような爽快感を味わいました。
まとめ
映画「アルキメデスの大戦」を観た感想について書きました。
予告編を度々見ていたので、そこそこの期待感を持って鑑賞に望んだんですけど、気がつくと130分、あっという間でした。
VFXによる戦艦大和の戦闘描写は、予想していた以上に緊張感とスケール感にあふれていたし、主人公の櫂はただ「変人」というだけでなく、あきらめの悪さと泥臭さを兼ね備えた天才だった。
丁々発止と議論を展開する様子や、当時の置かれている状況が今の日本にあまりにも酷似していて皮肉すら感じました。
そして終盤の価値観がひっくり返る展開…実に面白かったです。
これはもう一度観たいですね。
以上、映画「アルキメデスの大戦」の感想でした!
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