みをつくし料理帖特別巻「花だより」の感想!自然と涙がこぼれる良作

高田郁が描く人気作「みをつくし料理帖」の特別巻「花だより」を読みました。

残念ながらKindle版はリリースされておらず、久しぶりに文庫本を購入。

2014年に完結した「みをつくし料理帖」シリーズですが、今回は高田郁先生の作家生活10周年の記念作品として「花だより」が刊行。

見事に大団円を迎えたと思っていた「みをつくし料理帖」に、まさかの続編が登場するとは。

嬉しすぎてAmazonで即買いしちゃいました。

というわけで、今回はみをつくし料理帖特別巻「花だより」を読んだ感想について書きますね。

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花だより ~愛し浅蜊佃煮~

かつて澪が江戸でお世話になっていた「つるや」の店主・種市がメインのお話です。

大坂へと戻っていった澪から送られてくる年一回の手紙、通称「花だより」が今年に限って送られてこないことから澪のことが心配でたまらなくなる種市。

その上、かつて澪の「雲外蒼天」を言い当てた易者・水原東西の占いを受けた結果、もう自分の命が長くないと意気消沈してしまいます。

しかし「つるや」の常連の人気戯作者・清右衛門のはからいで大坂の澪に会いに行く、というお話となっています。

看板娘(婆さんだけど)の「りう」さんや、坂村堂の店主など、かつて澪がお世話になった人たちも加わり、大坂へ向かう様子は、どこかおかしく笑ってしまいました。

特に戯作者・清右衛門のわがままさ、気まぐれさ、律儀さは、この先生だけで小説が一本かけてしまうんじゃないかというくらい面白かったです。

またみんなが澪のことを大切に思っている様子は、それだけで読み手の涙を誘うものがありますね。

涼風あり ~その名は岡太夫~

「涼風あり」は、かつての澪の想い人、小松原様こと小野寺数馬に関するお話となっています。

メインとなる人物は小野寺の妻・乙緒(いつを)。

感情を顔に出さないようにと父の教えを守り続けてきた乙緒は、その糸のような目の細さも相まって「能面」や「笑わぬ姫君」などと周りから揶揄されることも。

本人はそのような事は特段気にすることもなかったのですが、かつて澪と夫・小野寺が相思相愛の中だったことを知り、思い悩みます。

個人的にはこの話が一番好きです。

この乙緒という女性、かなり面白いです。

乙緒の思考、乙緒の言葉、そのいずれもどこか面白おかしい空気間が漂っていて、読んでいて思わず「ニヤッ」としてしまいましたね。

また、小野寺の母・里津との間に結ばれた二人だけの絆には心が「ジーン」とすると同時に「このような関係を築けるものなのか」と感心してしまいました。

それにしても二人の間の息子・悠馬の可愛いこと。

秋燕 ~明日の唐汁~

「秋燕」は、澪の幼馴染であり、かつての「あさひ太夫」だった野江のお話です。

幼き日に起きた大洪水で失われてしまった店「高麗橋淡路屋」を再建させた野江。

しかし再建させる時に交わした約束、3年以内に男の店主を立てなければならない、という期限がもう間近に迫ってきてしまいます。

つまり誰かを夫として迎えなければならないわけですが、野江はかつて自らの命を捨ててまで野江を助け出してくれた「又次」という男のことを忘れられずにいるのですね。

「秋燕」では本編では語られることがなかった、野江と又次の出会い、そして野江が「あさひ太夫」になった経緯などが描かれていて、本編で「又次」が大好きだった私としてはとても感慨深い内容となっていました。

そして野江という女性の強さについてもあらためて実感した次第です。

月の船を漕ぐ ~病知らず~

「月の船を漕ぐ」は大坂に戻ってきた主人公・澪と夫の源斉を描いたお話です。

戯作者・清右衛門によって名付けられた「みをつくし」という料理屋を切り盛りする澪でしたが、疫病によって大家が代替わりしてしまい、店を閉じて出ていくことになってしまいます。

また時を同じくして疫病の治療のため各地に赴いていた夫の源斉も、病人を看取ることしかできない己の無力感と過労から倒れてしまいます。

どこまでも続く澪の「雲外蒼天」ですが、どんな逆境の中でも相手のことを思いやり、寄り添い、あきらめずにもがき続ける姿は、読んでいていつも心打たれるものがありますね。

料理を食べに来たお客さんや手伝いに来てくれる四十女のお峰との会話などでも、つねに相手のことを思いやる澪の優しさが言葉の端々からにじみ出ていて、とても爽やかな気持ちにさせてくれます。

短編ながらも、まさに「雲外蒼天」といっても過言ではない内容でしたが、最後には思わぬサプライズもあり、読み終わったあとは言葉では言い表せないような晴れやかな余韻にひたることができました。

まとめ

みをつくし料理帖特別巻「花だより」を読んだ感想について書きましたが、いかがだったでしょうか?

この特別巻を機にちょくちょく「みをつくし料理帖」を描いてくれるのかな?と少し期待していたのですが、どうやら今作品で「みをつくし料理帖」は本当に最後のようです。

とても寂しい気持ちではありますが、大坂に戻ったあとの澪や野江、つるやの人たち、そして小松原様こと小野寺数馬たちのその後の様子を知ることができて、とても良かったです。

ほんと「みをつくし料理帖」は、さりげないシーンでも自然と涙がこぼれてしまうような良作ですね。

時間を見つけて、また最初から読み返したいです。

できれば、Kindle版も出してくれると嬉しいな。

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