世間一般でお盆休みとして認識されているのは、毎年「8月13日~8月16日」ですよね!
ところで、あなたのお盆休みはもしかして有給休暇扱いだったりしませんか?
- あとから給料明細を見てみたら、有給休暇の日数が減っていた!
- 給料明細には記載がないけど、実は有給休暇扱いされていた!
もしあなたがお盆休みを実際に取る前に「お盆休みは有給扱いですよ」と会社からアナウンスされていなかったのなら、それは【違法行為】の可能性が考えられるんです!
実はお盆休みに限らず、有給休暇の扱いについては、黒に近いグレーゾーン的な運用をしている会社って結構あるんですよね!
有給休暇は法律でも定められた、「あなたの正当な権利」です。
まずは有給休暇のことをもっと良く知るところからはじめませんか?
有給休暇とは?
有給休暇とは文字通り「休んでも給料を貰える」、言いかえると「休んでも給料が減らない」休暇のことです。
この有給休暇は誰でも無条件で取得できるわけではなく、次のような発生条件があるんですね。
- 出勤率が80%以上
- 入社してから一定期間以上経過していること
これらの条件を満たすことで、はじめて有給休暇を取得できるんですよね。
この取得した有給休暇を「年次有給休暇」といいます。
年次有給休暇とは?
「年次有給休暇」とは、従業員のリフレッシュを目的とした休暇制度のことです。
年次有給休暇は労働基準法によって設けられていて、入社からの経過日数に応じて、有給休暇が1年ごとに付与されるんですね。
年次有給休暇の付与日数
年次有給休暇は、入社してから6ヶ月経過した時点を「基準日」として計算します。
入社からの経過日数 | 付与される有給休暇日数(1年ごと) |
---|---|
6ヶ月 | 10日 |
1年 6ヶ月 | 11日 |
2年 6ヶ月 | 12日 |
3年 6ヶ月 | 14日 |
4年 6ヶ月 | 16日 |
5年 6ヶ月 | 18日 |
6年 6ヶ月 | 20日(MAX) |
以降~ | 20日(MAX) |
入社してから6ヶ月たつと、10日間の年次有給休暇を取得できます。
その後1年経過するごとに、上の表のように少しずつ有給休暇の日数が増えながら、年次有給休暇を取得できるんですね。
そして、入社してから6年6ヶ月が経過すると、年次有給休暇が上限の20日に達します。
20日以上は何年勤めても増えることはありません。
年次有給休暇の取得状況
ここで2016年の年次有給休暇の取得状況を見てみましょう。
- 平均付与日数:18.1日
- 平均取得日数:8.8日
- 取得率:48.7%
せっかく付与された年次有給休暇なのに、実際にはその半分も消化しきれていません。
次に2022年の年次有給休暇の取得状況を見てみましょう。
- 平均付与日数:17.6日
- 平均取得日数:10.9日
- 取得率:62.1%
2016年のときと比較すると有給取得率は6割を超えていますね。
それでも残り4割は消化しきれていない状況です。
では、その消化しきれなかった有給休暇はどうなるのでしょうか?
有給休暇の期限は発生日から2年間。
期限を超えた有給休暇は時効により消滅します!
消滅したらどうにもなりません。
ただあきらめるだけです。
なぜすべての有給を消化しきれないのか?
なぜ有給をすべて消化しきれないのか?
それはずばり、周りの人を気にしすぎるからです!
日本の企業で働く多くの人はこう考えている、と私は思ってます。
- 休むことは悪いことだ
- 早く帰ることは悪いことだ
すこし過激な書き方をしましたが、あなたも同じ感想ではないですか?
このような考えが蔓延した中で「有給休暇を取る」という行為はなかなか勇気がいりますよね。
そしてせっかく苦労して取得して有給をとったにもかかわらず、全然心が休まらなかった、なんて経験をした人も多いのではないでしょうか。
だったら、気疲れしてまで有給なんて取らなくていいや!
っていつの間にか考えるようになるんでしょうね。
ブラック企業の経営者からしたら「しめしめ」ってところでしょうが。
実は有給の取得率をアップさせるための制度がある
有給休暇の取得率が半分もいかないことから、これを少しでも改善するために「計画的付与制度」というものがあります。
計画的付与制度とは?
- 年次有給休暇の付与日数のうち5日間は本人の意思によって自由に取得できる
- 年次有給休暇の付与日数から5日間を差し引いた日数に関しては、本人の承諾を得られれば企業側で計画的に付与できる
計画的付与制度の一番の目的は有給消化率をアップすることです。
企業側が休みやすい状況を積極的につくりだすことで、従業員側も気兼ねなしに有給を自然と消化できる、というなかなかいい制度なんですよ。
そんな計画的付与制度なんですが、これを逆手にとって悪用(いいすぎですかね?)する企業が中にはあるんです。
年末年始や夏季休暇を「本人の承諾なしに」有給扱い
年末年始や夏季休暇は企業や業種によって当然違ってくるのは当たり前なんですが、一般的には次のような期間が多いですよね。
2023年度の夏季休暇例
8月11日 | 金 | 祝日(山の日) |
8月12日 | 土 | |
8月13日 | 日 | お盆 |
8月14日 | 月 | お盆 |
8月15日 | 火 | お盆 |
8月16日 | 水 | お盆 |
2023年度の年末年始例
2023年 12月30日 | 土 | |
2023年 12月31日 | 日 | |
2024年 1月1日 | 月 | 祝日(三が日) |
2024年 1月2日 | 火 | 三が日 |
2024年 1月3日 | 水 | 三が日 |
上記のようなケースで有給が消費されるようなことは、普通だったら「ない」と思いますよね?
2023年度の夏季休暇例
8月11日 | 金 | 祝日(山の日) |
8月12日 | 土 | |
8月13日 | 日 | お盆 |
8月14日 | 月 | お盆 |
8月15日 | 火 | お盆 |
8月16日 | 水 | お盆 |
2023年度の年末年始例
2023年 12月30日 | 土 | |
2023年 12月31日 | 日 | |
2024年 1月1日 | 月 | 祝日(三が日) |
2024年 1月2日 | 火 | 三が日 |
2024年 1月3日 | 水 | 三が日 |
上記で「黄色」に塗った部分が「有給」として消費されている部分です。
あくまでも例ですけど。
お盆休みと年末年始などは、会社として「お休み」するわけですから、有給なんて関係なさそうなものですよね?
でも中には、こういうことを当たり前のようにする会社もあるんですよ!
年末年始とお盆休みで5日間も有給を使わされたら、たまったもんじゃないですよね!
もし病気やケガ、家の事情なんかで有給を使わざるを得ない状況になったときに「有給がない!」なんてことになったら、どうしたらいいんでしょうね。
とはいうものの、別にこれ、違法でもなんでもないんですよね。
ただし、本人の承諾が得られれば、ですけど。
本人の承諾なしに会社が勝手に有給扱いにすることは違法
計画的付与制度は会社が有給を計画的に取らせることができる制度です。
あくまでも正式に労使協定を結ぶ、すなわち「本人の承諾」を得た上で行われることが前提となっているわけですから、そこがキチンと守られないのであれば、計画的付与制度なんて使える有給が減るだけの制度でしかありません。
もしもあなたがこのような勝手に有給扱いされてしまうような状況にあり、どうしても納得できないのであれば、会社と話し合いをするか、別の会社への転職を検討したほうがいいでしょう。
労働基準監督署に相談するのもひとつの手ですが、労基署は簡単には動きませんし、実際に動いてもらうためには相当な時間と労力、精神力が必要となります。
また、たとえ労基署が動いてくれたとしても、おおきな傷跡だけを残して、結局会社を去らざるを得ない状況になる可能性のほうが高いでしょうね。
私ならそんな会社さっさとやめて転職しますね。
計画的付与制度はもともとこんな使い方をする制度ではないはずなんですけどね。
まとめ
夏季休暇(お盆休み)や年末年始においての有給の扱いや、年次有給休暇、計画的付与制度についていろいろと触れてきましたが、いかがだったでしょうか?
かんたんにまとめてみましょう。
- 有給休暇は「給料を貰いながら休める」休暇のこと
- 有給休暇の取得条件は「出勤率が80%以上」「入社してから半年以上経過している」こと
- 年次有給休暇は「入社半年」で10日、「6年6ヶ月」で最大20日まで毎年付与される
- 有給の消化率は「50%未満」
- 有給消化率アップのための制度「計画的付与制度」
- 有給のうち5日間は本人の自由意志で取得できる
- 有給のうち5日間を除いた残り休暇は、本人の承諾を得ることで企業側で計画的に付与できる
- 「計画的付与制度」を悪用する企業がある
- 本人の承諾を得ずに有給扱いにすることは違法
つまり、本人にちゃんと伝えずに、お盆休みを有給扱いで処理することは違法ってことなんです。
仕事が好きで好きでたまらない!というのであれば全然気にならないのかもしれません。
しかし、お休みを満喫することも人生には大事なことだと私は思います。
なので、あなたにはお盆休みと年末年始はしっかりとリフレッシュして欲しいな~と考える次第であります!
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